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オペラの夜(by 村上春樹)

Posted by インフィニティ on 1998/09/04 21:19:53:
In Reply to:
割り込み失礼致します。 Posted by BULGARIかしら on 1998/09/03 03:58:10:
 

「BULGARIかしら」さん、私にレスを付けたのは、間違いじゃないですか。(笑)
だって私は、オペラを見たことがないのですよ。
ヘンデルのメサイアを歌ったことはあっても。


だから、いまひとつ内容が理解できません。
しかし幸いなことに、私が(かつて)敬愛した作家・村上春樹が、「オペラの夜」というエッセイを
書いています。このエッセイに出てくるオペラの名前を書き出してみましょうか。


マゼールの「ドン・ジョバンニ」
アバドの「セヴィリアの理髪師」
マリオ・デル・モナコの絶唱するあの伝説的な「道化師」
ミラノ室内歌劇団の公演による「オルフェス」
ドイツで観た「さまよえるオランダ人」と「魔笛」
ゼッフィレリのプロデュースした「トスカ」
ブリテンの「ビリーバッド」
フレーニがタチアナを歌うチャイコフスキーの「エフゲニー・オネーギン」
ヴェルディ・・・
ロッシーニ・・・
プッチーニ・・・
モーツァルト・・・



「オペラというものはよく考えてみれば、じつに変なものだ。
あれくらい見事に十八世紀、十九世紀的で悠長で伝統的で非リアリスティックで非日常的な代物が、
短いサイクルで様々なスタイルが浮き沈みするこの忙しい時代になっても、どうして未だに人々の
気持ちを引き付け続けるのだろう?」

と村上春樹は疑問を投げかけます。



「僕らがオペラに惹かれる最大の理由は実に『無駄づかい』ではないかと思う。
時間の無駄づかい。
労力の無駄づかい。
そして何よりも巨大な時代錯誤を可能とする『非日常性への埋没』という感性の無駄づかい。
僕らはきっと心の底でそういうものを希求しているのだ・・・」



価値のない無駄づかいだけは上手で、良い意味での無駄づかいの出来ないこの国に、オペラ的な
ものが根づかない理由が分る気がします。
そのうちエスコートしてくださいね。(笑)
おやすみなさい。